経営する飲食店にもしものことがあったら
飲食店という事業は、世の中に欠かせない存在となっています。
未だに現役世代の中には、サラリーマンを卒業したあとは“生まれ育った故郷でこぢんまりとカフェを開くこと”や、昔の仲間が集まる波止場となる“個人経営の居酒屋を開くこと”を夢見ている人は少なくありません。
日本の飲食店はそのような理想に溢れたあこがれの対象となっています。
しかし、実際はお客様に愛されるためには目に見えないところで不断の努力が欠かせません。
ましてや、努力していても「感染症」などの避けられないトラブルに巻き込まれてしまうこともあるでしょう。
もし自身が経営する飲食店が万が一の事態に巻き込まれたら、あなたはどうしますか?
想定しておきたい万が一のトラブルとは
飲食店経営において、気をつけていてもどうしても起こってしまうトラブルというものがあります。予め起こりやすいトラブルを理解しておくことで、当事者になった際に落ち着いた対応を心がけるようにしましょう。
食中毒
飲食店で最も恐れられる不祥事が「食中毒」です。春から夏にかけての気温の上昇が読みづらい時期に起こりやすく、特に寿司や刺身などの鮮魚やレアに近い肉類を扱う飲食店では細心の注意を払った経営を行わなければいけません。
火災
近年、東京を中心に火災の件数は減少傾向にあります。しかし、飲食店に限っては火災件数が増加傾向にあるようです。
飲食店を運営する上で火を扱うという業務は避けて通ることが出来ません。そのため「火災」を予防する意識は大切になります。
感染症
2019年から2020年にかけて最もインパクトの強いニュースとなっているのが「新型感染症」の拡大です。こればかりは飲食店でどれだけ気をつけていても、どのタイミングで症状が発症してしまうか全く予測できないトラブルになってしまいます。
国の動向に注目して適切な対応をする必要があるでしょう。
予測しづらいトラブルに対処するための方策
予測しづらいトラブルも、ほんの少し日々の危機管理意識を向上させるだけでリスク回避することができるかもしれません。万が一の事態を想定した行動を日々心がけるようにしましょう。
手洗いで日頃の危機意識を高く
飲食店の基本は「手洗い」です。手洗いは簡単で誰にでも出来ることですが、最も効果的な衛生管理方法として徹底することが求められています。
特に“トイレの後”や“調理に入る直前”は最も菌が手に付着している可能性が高いため、確実に手洗いを行えるようにしましょう。
厚生労働省のホームページを確認すると適切な手洗いの方法が解説されているので、併せて確認しておきたいところです。
日々の設備点検を怠らない
飲食店の火災における出火原因の大半を占めるのがガスコンロやガスレンジなどのガス系統の設備、そして“電気設備”です。
特に電源プラグ周りの清掃は行き届いていないことも多く、見落としがちなポイントとなります。
従業員にしっかりと確認してもらうとともに、経営者が二重点検を行うことができるとよいでしょう。
マスク、消毒液で柔軟な対応を
日本では接客業に従事する際にマスクを付けるのはNGというお店も少なくありません。
しかし、仕事の中でもとりわけ多くの人と接することになる飲食店の従業員は、お客様を守るという意味でもマスクの着用を義務付けたほうが良いでしょう。
場合によっては店頭に消毒液を配置することは、飲食店としての信頼を印象づけることにも繋がりますので、是非実践したいところです。
出勤を停止するか時間差出勤等で従業員を守る
感染症が拡大した際は、そもそもお店を営業すべきかどうかを検討する必要があります。一般企業では一部でリモートワークが普及していますが、残念ながら飲食店はそうは行きません。
しかし、時間差出勤で人の多い時間帯の出勤を避けることは可能です。また、ランチタイムの営業を休止する、時短営業するなどの方策は有効的になるため、従業員を守るための対策は求められているでしょう。
キャッシュに厚みを持たせる
政府の融資機関である「日本政策金融公庫(https://www.jfc.go.jp/)」では、危機対応円滑化という役割を担っています。
こちらは、文字通り災害や何らかの事由によって緊急事態に陥ってしまった中小企業に対し、金銭の貸し付けや保証業務を行うというものです。
また、借入するのが不安・一時的なつなぎ資金が欲しい・即日お金が必要といったケースであれば、売掛金を売却する「ファクタリング」と呼ばれる資金繰りもお勧めです。
ファクタリング会社によっては申し込んだその日の内に債権の買い取り金を振り込んでもらうことができます。
先行きが不安な場合にはこれらの資金調達方法を活用し、事前にキャッシュフローに厚みを持たせておくという手もあります。
経営者は最新の情報に細心の注意を
どれだけ衛生面に気をつけていても、起こるときは起こってしまうのがトラブルです。ましてや感染症の流行など心底遠慮願いたいものになります。
どうしても避けられないトラブルに見舞われたときに、経営者としては政府各機関の信頼できる情報にアンテナを張り巡らせ、従業員やお客様を正しい情報で守ることが大切なのではないでしょうか。